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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2006年10月撮影 六月祓(みなづきのはらえ)

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

追儺(ついな)~紫の君の雛(ひいな)あそび~ に引き続き、
2006年10月に風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

東の対では
『年中行事絵巻』より
「六月祓(みなづきのはらえ)~現代に引き継がれる平安時代の年中行事~」
が展示されていました。

<博物館レジュメより>
 “祓(はらえ)とは罪穢れを除去することで、
 無意識の間に犯した神への罪を祓うために、
 毎年六月と十二月の晦日に行われていたもので、
 特に六月の禊祓(みそぎはらえ)を「六月祓
 (みなづきのはらえ)」もしくは「夏越祓
 (なごしのはらえ)」といった。”

 “この六月祓は、陰陽師により中臣祓詞
 (なかとみのはらえことば)が読まれ、
 罪穢れを祓うために「人形(ひとがた)」
 「解縄(ときなわ)」「散米(うちまき)」
 「菅貫(すがぬき)」などが行われた。”


 人形(ひとがた)






罪や穢れを人形に移して、
使用後水に流し、穢れをはらうものです。





水に流されていく人形(ひとがた)



 解縄(ときなわ)




人形(ひとがた)と同様の意味で
左右に縒られた木綿(ゆう=穀や楮の木の皮)を、
片手で捻りをもどして、罪穢れを解き、
人形(ひとがた)とともに川に流しました。



 散米(うちまき)


邪気を祓うために、米を撒き散らすこと。



 菅貫(すがぬき)の儀






菅貫(すがぬき)は茅輪(ちのわ)ともいい、
茅(ち)や菅麻(すがあさ)などを輪型にしたもの。

平安時代は願い主の頭上より身の下までくぐらして
後ろざまに抜き、祓い終わってから、刀で切断し、
人形(ひとがた)などと一緒に川に流して穢れを
祓い、災厄を除く儀式。

ここでは『年中行事絵巻』(12世紀後半)に描かれた
六月祓の様子を参考に展示。



茅輪(ちのわ)を切っている女房。





 女房の日常 へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2006年10月撮影 女房の日常

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

六月祓~現代に引き継がれる平安時代の年中行事~ に引き続き、
2006年10月に風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

局(つぼね)では
「女房の日常」が展示されていました。


 冬支度~装束に綿入れする女房~







 “冬支度として綿入れを行う女房達の姿を展示。
 当時の綿は、繭から作った真綿であり、
 現在多用されている木綿綿が定着して
 栽培されるようになったのは室町時代末期
 のことである。”




伏籠で装束に香をたきしめる女房 も展示されていたのですが
あいにく、写真を撮るのを忘れていました。





 七夕~在りし日の紫の上と源氏~ へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2006年10月撮影 七夕~在りし日の紫の上と源氏~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

女房の日常 に引き続き、
2006年10月に風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

寝殿北廂では
『源氏物語』<幻>より
「七夕~在りし日の紫の上と源氏~」の
場面が展示されていました。




<博物館レジュメより>
 “「幻」の巻においては、亡くなった紫の上を
 偲び、七夕の夜に源氏が和歌を読む場面がある。
 この場面では、紫の上亡き後に迎えた
 7月7日が、例年と変わったことが多く、
 管弦の遊びなどもなく、七夕の二星の逢瀬を
 ながめることもしないと記されているので、
 ここでは在りし日の七夕の夜に興じる
 紫の上と源氏の姿を再現してみた。”






「乞巧奠(きっこうてん)」
 “庭に祭壇を設け、糸や針、布をはじめ、
 様々な品を供え、手芸の上達を織女星に
 願うもの”




在りし日の紫の上と源氏



紫の上
小袿姿。



源氏。
烏帽子直衣姿。

七夕の和歌を梶の葉に記す源氏。



梶の葉を用意する女房。



角盥に梶の葉を浮かべ
水面に星を映して眺めます。




「索餅(さくべい)」の用意をする女房。

 “七夕の日には、厄除けのために、その春に
 収穫された麦で作った索餅を食べる習慣があった。
 索餅とは、小麦粉と米粉を水で練り、それに塩を
 混ぜ、練って紐状に細長くし、縄のようにねじり
 合わせたもので、その形状より和名は
 「麦縄(むぎなわ)」という。
 唐菓子のひとつで、油で揚げたお菓子という説も
 あるが、乾燥させて保存したものを、茹でて、
 醤(ひしお/醤油の元祖)や酢などにつけて
 食したようである。”


 “この索餅はある程度太さがあったものであるが、
 これに油を利用して延ばしていったものが素麺であり、
 鎌倉時代には七夕の食べ物として素麺が索餅に取って
 代わるようになるのである。”





 舞楽装束の色々 へ続きます。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2006年10月撮影 舞楽装束の色々

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

七夕~在りし日の紫の上と源氏~ に引き続き、
2006年10月に風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

寝殿西廂では、
「舞楽装束の色々」が展示されていました。


 落蹲(らくそん)







唐楽(とうがく)右方(うかた)走舞(はしりまい)の代表曲。
蘭陵王(らんりょうおう)と番舞(つがいまい)となります。



 打毬楽(たぎゅうらく)



唐楽(とうがく)左舞(さまい)で四人舞です。



 迦陵頻(かりょうびん)



唐楽(とうがく)左舞(さまい)、四人の童舞です。



 胡蝶(こちょう)



高麗楽(こまがく)右舞(うまい)、四人の童舞で
迦陵頻(かりょうびん)の番舞(つがいまい)です。






 実物大展示室へ続きます。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2006年10月撮影 実物大展示室

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

舞楽装束の色々 に引き続き
2006年10月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

実物大展示室では
直衣姿の男君と唐衣・裳姿<十二単姿>の女君が
展示されていました。


直衣姿の男君。



唐衣・裳姿
・・・いわゆる十二単姿の女君。


角度を変えて。




 着装体験。

風俗博物館、実物大展示室には
洋服の上から自由に羽織ることができる
装束があります。

 ・男性用・・・狩衣姿(狩衣と指貫)
 ・女性用・・・袿姿(単と袿)


御帳台の前にて。


御帳台の中にて。



以上、2006年10月における風俗博物館の展示の様子でした。





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【テレビ放送情報】 BSフジにて「古都浪漫こころ寺巡り」 第37話勧修寺・廬山寺 7月8日(水)放送!

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 紫式部に関する番組の放送情報です。

BSフジにて放送中の番組
「古都浪漫こころ寺巡り」。
第37話は『勧修寺と廬山寺』です。

紫式部誕生に大きく関係する勧修寺と
紫式部邸宅跡に建つ廬山寺。

“今回は、平安時代の優美さを感じさせる2つの寺を
 巡り紫式部の人生に思いを馳せる。”だそうです。


 【放送】 2015年 7月 8日(水)午後10時~


 ※番組公式サイト
 ⇒ http://www.bsfuji.tv/kotoroman/
 ⇒ http://www.bsfuji.tv/kotoroman/bn/37.html



放送が楽しみです。




 当方のwebサイト内の関連ページやブログ記事へのリンク集。

 ・『源氏物語』における光源氏と明石の君のモデル!? 藤原高藤と宮道列子のロマンス・山科
 (『源氏物語』の作者・紫式部は、藤原高藤と宮道列子の子孫です。)
 
 ・【京都】 山科 勧修寺 ~花と鳥の楽園~
 (2015年4月に勧修寺を訪ねました。)

 ・廬山寺 紫式部邸宅址

 ・京都 廬山寺の桔梗(キキョウ) 2014年8月10日撮影







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【テレビ放送情報】 BS-TBS「高島礼子・日本の古都」『瀬戸内寂聴、今こそ伝えたい!女の生き様』放送

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 源氏物語や紫式部に関する番組の放送情報です。

BS-TBSにて放送中の番組、
「高島礼子・日本の古都~その絶景に歴史あり」。

#11 #12 『瀬戸内寂聴、今こそ伝えたい!女の生き様2時間SP』が放送されます。

 “実はシングルマザーだった「紫式部」の知られざる物語
 ・・・「源氏物語」には現代にも通じる女性たちの生き方が!”

 “宇治の「平等院」で瀬戸内寂聴さんが「女性の生き様」
  について語る2時間スペシャル”


 【放送】 2015年 7月 8日(水) 午後9時~10時54分


 ※番組公式サイト
 ⇒ http://www.bs-tbs.co.jp/info_news/koto/



どんな内容の番組となるのでしょう。
楽しみですね。




 当ブログでの関連記事へのリンク。

 ・【京都】 宇治 藤の花咲く平等院へ (2015年4月27日撮影)




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 紫の上による法華経千部供養 1

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

2007年1月に
風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

寝殿において
『源氏物語』<御法>より
「紫の上による法華経千部供養」
の場面が展示されていました。

舞台は、六條院春の御殿 寝殿を
二條院寝殿と見立てられています。





<博物館レジュメより>
“源氏51歳の3月10日(旧暦)、満開の桜が咲き誇る中、
二條院において紫の上(43歳)主催の法華経千部供養が
執り行われた。
紫の上は四年前の大病以来、体調も思わしくなく、かねてより
悲願である出家をしきりにのぞむが、源氏はどうしても
許さなかった。
そのような中、後の世のために、紫の上は内々の自身の発願
として 書かせていた法華経千部(1日1部を35人で作成
して完成に三年間を要する)の供養を、六條院ではなく、
紫の上の私邸である二條院で行った。”






本尊 普賢菩薩像



行道(ぎょうどう)の七僧(しちそう)
<講師(こうじ)・読師(どくし)・呪願師(じゅがんじ)・三礼師(さんらいし)・唄師(ばいし)・散華師(さんげし)・堂達(どうたつ)>
袍裳七条袈裟(ほうもしちじょうけさ)姿。

“七僧の法服は身分に応じて、法服の色合いや仕立て方を
はじめとして贅美を尽くして紫の上が用意していた。”



簀子に座す僧。
裘代(きゅうたい)姿。



源氏
大君姿(おおきみすがた)<直衣布袴(のうしほうこ姿>

紫の上が仏道にまで通じていらっしゃることを
感心している源氏の君。







 紫の上による法華経千部供養 その2 へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 紫の上による法華経千部供養 2

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

紫の上による法華経千部供養 その1 に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。





寝殿西側の塗籠(ぬりごめ)にいる紫の上。
唐衣・裳姿。



寝殿北廂にて、
今上帝と明石の中宮との子・匂宮。





“花散里御方、明石御方の局(つぼね)は
寝殿北廂に襖だけを仕切りとしてしつらえてあります。”



花散里御方
唐衣・裳姿。


明石御方
唐衣・裳姿。


紫の上は匂宮をお使いにして
明石御方と和歌を読み交わすのでした。




 紫の上による法華経千部供養 その3 へ続きます。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 紫の上による法華経千部供養 3

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

紫の上による法華経千部供養 その2 に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。




<博物館レジュメより>
“楽人(がくじん)や舞人(まいびと)の用意は
大将の君(夕霧)により取り計らわれていた。”


大将の君 こと 夕霧


“夜中(よるじゅう)、尊い読経に合わせて打ち鳴らしていた
 鼓が興をそえ、ほのぼのと夜が明けていく朝ぼらけの中で
 陵王の舞がはじまった。”





陵王(りょうおう)

“舞は「陵王(りょうおう)」、曲は「蘭陵王(らんりょうおう)」といい、
唐楽(とうがく)左方(さかた)走舞(はしりまい)の名作中の名作”






落蹲(らくそん)

“高麗楽(こまがく)右方(うかた)走舞(はしりまい)の代表曲。
 蘭陵王と番舞(つがいまい)となる。”








女房の日常~局にて~ へ続きます。







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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 局(つぼね)~女房の日常~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

紫の上による法華経千部供養 その3 に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

局(つぼね)では
女房の日常が展示されていました。


 ~髪の手入れをする女房~


鏡に顔が映っています。
髪を櫛で梳いてもらっている女房。


髪の通常の手入れのことを「泔(ゆする)」といいます。
米のとぎ汁を髪を梳くために用いました。



米のとぎ汁を入れた容器を「泔杯(ゆするつき)」といいます。




 ~偏つぎに興じる女房~





<博物館レジュメより>
“偏つぎとは、主として女性や幼い子が漢字の知識を
競い合った遊びで、偏(へん)と旁(つくり)に分かれた
札を使った様々な遊び方がある。
例えば、漢字の旁に偏をつけて文字を完成させる、
あるいは旁の札を出して、これに様々な偏をつけた
文字を考えさせ、続けられない者、または読めない者を
負けとする遊びである。”




平安の遊び~貝合せ~ へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 平安の遊び~貝合せ~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

局(つぼね)~女房の日常~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

東の対 北廂にて
「平安の遊び~貝合せ~」が
展示されていました。



<博物館レジュメより>
“貝合せとは、様々な物合せ(ものあわせ)の中の一種で、
左右の二方に分かれて、それぞれ珍しい貝を持ちよって優劣を
競う遊びである。
本来は同じ種類の貝の姿の優劣を競うものであったが、物合せの
常として単に貝の珍しさを競うだけでなく、貝を飾った州浜に
風流を凝らしたり、それぞれの方の和歌を詠み添えて競ったり
した。
勝敗判定は、貝の形状の優美なこと、色彩、大きさ、珍しさや
種類の抱負なことが基準であった。
貝合せの初見は長久元年(1040)の5月、貝の豊富な伊勢の
斎宮で行われた良子内親王主催のものである。”



 左方(さかた)の女童達


左方の州浜(すはま)

“縁(ふち)が三曲り(みまがり)になった州浜にくぼみを
作り、見事な小箱をはめ込んでいろんな貝を入れ、州浜の表
には金銀の蒔絵で蛤やうつせ貝の模様を隙間なく撒き散らして
ちらしてあり、和歌がそえらえている。”


赤系統の装束を身に着けています。


女童


州浜と貝




 右方(うかた)の女童達


右方の州浜(すはま)

“州浜に銀を使い、鏡のように水や州浜をあらわすという
すばらしい趣向であった。”


青系統の装束を身に着けています。


女童たち


州浜と貝






 歳暮の衣配りより~女君達の装束紹介~ へ続きます。






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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 歳暮の衣配り~女君達の装束紹介~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

平安の遊び~貝合せ~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

東の対 東廂
「歳暮の衣配り~女君達の装束紹介~」が
展示されていました。

舞台は、母屋(もや)と見立てられています。



<博物館レジュメより>
“源氏35歳の年の暮れ、その年の秋に落成した六條院において、
それぞれの御殿に住まわせている女君達にふさわしい正月用の
装束を紫の上と調えた。
源氏自らが女君たちの年齢や容貌・性格にふさわしく見立てた
きらびやかな衣裳を目の当たりにして、まだ見ぬそれぞれの
女君達の器量を推し量る紫の上の複雑な心中が思いやられる。”


 明石の姫君:細長姿



 桜の細長に、つややかなる掻練(かいねり)取り添へては、姫君の御料なり。


“細長とは:
高貴な女性が平常に着たやや改まった装束で、袿や小袿の上に着用した。
物語に登場する場面は様々だが、女性の若々しさや幼さを象徴する装束であったことが伺える。”



 明石御方:小袿姿



 梅の折枝、蝶、鳥、飛びちがひ、唐めいたる白き小袿に、濃きがつややかなる重ねて、明石の御方に。


“小袿とは:
高貴な女性が平常に着た代表的装束。
身丈ほどの袿で、晴れの装束であった。
唐衣裳を省略した場合に着用されることがあり、平常着でも礼装的な意味合いがこめられていた。”




 末摘花:袿姿



 末摘花の御料に、柳の織物の、よしある唐草を乱れ織れるも、いとなまめきたれば、



 花散里:袿姿



 浅縹の海賦の織物、織りざまなまめきたれど、匂ひやかならぬに、いと濃き掻練具して、夏の御方に。

※夏の御方=花散里



 玉鬘:細長姿



 曇りなく赤きに、山吹の花の細長




 空蝉:袿姿



 空蝉の尼君に、青鈍の織物、いと心ばせあるを見つけたまひて、御料にある梔子の御衣、聴し色(ゆるしいろ)なる添へたまひて、






生ける仏の御国~六條院の新春 梅の花に競う薫香~ へ続きます。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 生ける仏の御国~六條院の新春~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

歳暮の衣配りより~女君達の装束紹介~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

六條院春の御殿 東の対 にて
『源氏物語』<初音>より
「生ける仏の御国(みくに)~六條院の新春 梅の花に競う薫香(くんこう)~」が
展示されていました。



<博物館レジュメより>
“源氏36歳の元旦、昨年8月に完成した六條院において
源氏は初めての新春を迎えた。
春の町で初めての春を迎える紫の上(28歳)の春の御殿は、
冬の名残りもなく一片の雲も無いうららかさの中で、梅の香り
も御簾の中の薫物(たきもの)の香と愛和して極楽浄土を思わす
風の香りとなり、辺りに満ち充ちている。”


 春の御殿の御前、とりわきて、梅の香も御簾のうちの匂ひに吹きまがひ、生ける仏の御国とおぼゆ。

(訳:春の御殿のお庭は、特別で、梅の香りも御簾の中の薫物の匂いと吹き混じり合って、この世の極楽浄土と思われる。)



紫の上。
小袿姿。

“母屋に座す紫の上は昨年の歳暮に源氏より贈られた、
葡萄染(えびぞめ)の紅梅文様の小袿を優美に着こなしている。”

 紅梅のいと紋浮きたる葡萄染の御小袿、今様色(いまよういろ)のいとすぐれたるとは、かの御料。


“今様色とは:
当世風の流行の色で紅花で染めた色、または濃い紅梅色。”




源氏。
冠直衣(かんむりのうし)姿。





伏籠(ふせご)に装束をかけて香(こう)を焚き染める女房



調合した練香(ねりこう)を火取(ひとり)で燻らす女房




源氏と紫の上。




 今回の展示では、香木を実際に見て触れて香りを確認できるコーナーがありました。











 新春行事~餅鏡と歯固め~ へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 新春行事~餅鏡と歯固め~

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

生ける仏の御国~六條院の新春 梅の花に競う薫香~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

六條院春の御殿 東の対 にて
『源氏物語』<初音>より
「新春行事~餅鏡と歯固め~」が
展示されていました。


 (六条院 春の御殿 紫の上付きの女房たちは)ここかしこに群れゐつつ、歯固めの祝ひして、餅鏡をさへ取り混ぜて、千年の陰にしるき年のうちの祝ひ事どもして、そぼれあへる

 (訳:あちらこちらに寄り合っては、歯固めの祝いをして、鏡餅まで取り加えて、千歳の栄えも明らかな新年の祝い言を唱えて、戯れ合っている)



 新春行事~餅鏡(もちいかがみ)~





<博物館レジュメより>

“日本では、古くから鏡を神霊の依代(よりしろ)の一つ
としており、正月の餅もこの鏡に似せて神に供えたので、
餅鏡という。
「餅鏡」は現在でいう鏡餅の事で、元旦から三日まで、
長寿を祈願して、餅を丸く平たく作り、二重もしくは
三重に重ねて飾るものである。
「歯固め」は食することによって長寿を願うが、餅鏡は
神にお供えすることに意味があり、そのことに重点を
おいて、見たり眺めたりして長寿を祈り祝うものであった。”



源氏の召人のひとり、中将の君。

“餅鏡に源氏の千歳の長寿を祈り、祝っている。”






 新春行事~歯固め(はがため)~





“「歯」は「齢(よわい=人の年齢)のことで、年頭に当たって
様々な物を食べ、齢(よわい)を固めて健康と長寿を祈る行事で、
元日より三日まで行われる。
これは中国で元日に「膠牙餳(こうがとう)」という、固い飴を
食べて歯の根を固めて強くし、長寿を願うという行事が日本に
入って日本風に変化したもので、初見は『土佐日記』『延喜式』
である。”






歯固めの食事。

・大根
・真菰(まこも=古来より神事に深く関わり、邪気払いとされた)串刺し
・押鮎(おしあゆ=塩漬にして、おもしで押した鮎)
・焼鳥
・猪肉二盤(一鮮・一焼)
・押鮎(切盛、頭二串置)
・煮塩鮎(切盛、頭二串置) など

これらの歯固めの食事を用意し、
屠蘇(とそ)を加える。





 実物大展示室 へ続きます。






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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 実物大展示室

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

新春行事~餅鏡と歯固め~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

実物大展示室では
直衣姿の男君と唐衣・裳姿<十二単姿>の女君が
展示されていました。


直衣姿の男君。


後ろから見た男君。



唐衣・裳姿
・・・いわゆる十二単姿の女君。


角度を変えて。








 着装体験。

風俗博物館、実物大展示室には
洋服の上から自由に羽織ることができる
装束があります。

 ・男性用・・・狩衣姿(狩衣と指貫)
 ・女性用・・・袿姿(単と袿)

今回は体験していません。



以上、2007年1月における風俗博物館の展示の様子でした。






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【情報】 宇治市源氏物語ミュージアムにて企画展「絵で見る平安時代」開催中!~9月27日まで

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 源氏物語に関する展覧会のご紹介です。

京都府宇治市、
宇治市源氏物語ミュージアムにて
企画展「絵で見る平安時代―王朝びとのくらし―」が開催中です。

~9月27日まで。

 ※宇治市源氏物語ミュージアム
 ⇒ http://www.uji-genji.jp/

“『源氏物語』が描かれた平安時代とはどのような時代だったのでしょうか。
当館所蔵『源氏絵鑑帖』を中心に、平安京とはどのような都市だったのか。
そこに暮らす貴族のくらしを見ていきます。
会期中、当館学芸員によるギャラリートークを実施します。”



<関連記事>

 ※産経ニュース 2015.7.10
 牛車にスポットの企画展 宇治市源氏物語ミュージアムで開催 京都
 ⇒ http://www.sankei.com/region/news/150710/rgn1507100074-n1.html

 ※京都新聞 2015年07月09日
 源氏ロマンを屏風で堪能 京都・宇治で企画展
 ⇒ http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20150709000050


夏休み期間中、
小学5年生以上を対象にしたギャラリートークや
小学4年生以下を対象に館内をめぐる「源氏探検」が
行われるそうです。

※源氏探検は7月17日までに申し込みが必要(先着順)だとか。



お近くにお住まいの方もそうでない方もどうぞ。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2008年5月撮影 舟楽 その1

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

2008年5月に
風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

寝殿において
『源氏物語』<胡蝶>より
「舟楽(ふながく)」の場面が展示されていました。



<博物館レジュメより>
“源氏36歳の旧暦3月20日の晩春、昨年の8月に完成した
六條院の紫の上(28歳)が住まう東南の町の「春の御殿」に
おいて、新造した龍頭鷁首(りゅうとうげきす)の潜水式があり
雅楽寮の楽人を召して舟楽が催された。
この舟楽には親王・上達部など大勢が参加し、参集した人々の
中には、夏の御殿に住む玉鬘に思いをよせる柏木や蛍兵部卿宮
もおり、華やぎを添える。”

よそでは盛りが過ぎたはずの桜がここでは今を盛りに咲き誇り、
緑を増した柳が枝を垂れています。

山吹の花も咲きこぼれて真っ盛り。




折から、秋好中宮が六條院の西南の町の「秋の御殿」に
里下がりしていたので、秋好中宮に仕える若い女房たちが
龍頭鷁首の舟に乗って「春の御殿」の池を訪れています。



鷁首舟に乗った右方楽人たちと棹をさす女童。




龍頭舟に乗った秋好中宮の女房達と棹をさす女童。



鷁首舟に乗った秋好中宮の女房たちと棹をさす女童。



龍頭舟に乗った左方の楽人たちと棹をさす女童。
紫の上に仕える若い女房たちが舟楽の様子を眺めています。



渡殿の廊をめぐる藤の花の色も紫濃く、次々と咲き始めています。




 舟楽 その2 へ続きます。





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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2008年5月撮影 舟楽 その2

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

舟楽 その1 に引き続き、
2008年5月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。



次に寝殿から舟楽を眺める人々を見ていきたいと思います。


源氏(太政大臣)たち。


源氏(太政大臣)
南廂に座しています。直衣出衣姿。



内大臣(元・頭中将)
南廂に座しています。



写真左側:髭黒
写真右側:蛍兵部卿宮 

髭黒は南廂、蛍宮は簀子に座しています。






紫の上と明石の姫君は母屋に座しています。



写真左側:紫の上  ・・・袿姿
写真右側:明石の姫君・・細長姿



写真左側:夕霧
写真右側:柏木

簀子に座しています。




源氏たちと舟楽の様子。



全体の様子。





 平安朝の新春行事 臨時客 へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2008年5月撮影  平安朝の新春行事 臨時客

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

舟楽 その2 に引き続き、
2008年5月に風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。

東の対において
『源氏物語』<初音>より
「平安朝の新春行事 臨時客」
の場面が展示されていました。



源氏36歳の正月二日、六條院にて上達部(かんだちめ)や
親王たちを招いて「臨時客(りんじきゃく)」が行われました。

“招待することなく不意に来た客を饗応するので、
「臨時客」の名”があります。

“六條院への臨時客には、上達部や親王が残らず参上し、
盛大な饗応(きょうおう)がされ、管弦の遊びがあり、
引出物や禄(ろく)の品にはこの上なくすばらしい
ものが用意”されました。

年若い上達部の中には、玉鬘に対してひそかに思いを寄せて、
やたらと緊張している者もありました。





源氏
濃紫文官束帯姿(太政大臣・一位)

元・頭中将
薄紫文官束帯姿(内大臣・二位)

髭黒
薄紫武官束帯姿(右大将・三位)

蛍兵部卿宮
濃緋文官束帯姿(兵部卿・四位)

柏木
薄緋武官束帯姿(左少将・五位)

夕霧
濃緋武官束帯姿(左中将・四位)




横から見た様子。



手前から
夕霧・柏木・蛍兵部卿宮。


“文官は腋(わき)を縫ってある縫腋袍(ほうえきのほう)を着用し、
武官は腋を縫っていない闕腋袍(けってきのほう)を着用することで、
同じ位の中でも文官と武官の区別が一目でわかるようにされて”いました。






禄(ろく)の采配をする紫の上
全体の様子。



禄をいただく公卿。


禄の用意をする女房


禄をいただく殿上人


紫の上
“小袿姿・・・高貴な女君の褻(け)の装束で、略礼装にあたる。”





 平安朝の年中行事 十五日粥<七草粥> へ続きます。





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