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【京都・風俗博物館】 2005年11月撮影 文学作品にみる名場面1 『更級日記』 くしき猫のおとずれ

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 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

女房の局 に引き続き、
2005年11月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

東の対では
文学作品にみる名場面 1
『更級日記』菅原孝標女 著
土忌みの宿、くしき猫のおとずれ の場面が
展示されていました。


全体の様子。



菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)
袿姿(五衣:女郎花かさね  袿:薄黄地白海賦文)


菅原孝標女の姉。
袿姿(五衣:花橘かさね   袿:萌黄地白海賦文)




<「新編日本古典文学全集26 和泉式部日記 紫式部日記 更級日記 讃岐典侍日記」小学館発行より 原文・訳 引用>

 “五月ばかり、夜ふくるまで物語をよみて起きゐたれば、
 来つらむ方も見えぬに、猫のいとなごう鳴いたるを、
 おどろきて見れば、いみじうおかしげなる猫あり。”

 (それは五月ごろのことだったが、夜の更けるまで物語を読んで起きていると、
 どこからやって来たのか見当もつかないが、猫がまことにのどやかに鳴いている。
 はっとして、よく見るといかにもかわいげな猫がそこにいる。)




この猫を姉妹でこっそり飼うことにしたのでしたが、
とても人馴れしており姉妹にぴったりついてまわるのでした。
 
姉が病気をすることがあって、
猫を北面の部屋に置いていましたが、
猫はうるさく鳴き騒ぎました。

すると、病気で臥していた姉の夢に猫が現れ、
その猫は実は姉妹が親しくして亡くなった
侍従大納言の娘の生まれ変わりで、姉妹が
自分をしたってくれたその縁で姉妹のもとに
来たのに、最近は側にも置いてもらえないことを
悲しんでいると訴えた夢を見ました。

それ以後、姉妹はこの猫を北面にも出さず、
大切にお世話したというエピソードです。



※侍従大納言の娘=藤原行成の娘のこと。
12歳で藤原道長の息子・長家(14歳)と結婚。
15歳で病没。



 文学作品にみる名場面2『堤中納言物語』へ続きます。







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