平安時代好きブロガー なぎ です。
2023年 2月25日のこと。
数年ぶりに福岡市東区にある筥崎宮を参拝しました。
筥崎は『源氏物語』においてその名が2度登場する神社であり歌枕でもあります。
『源氏物語』玉鬘巻より
「[略」近きほどに、八幡の宮と申すは、かしこにても参り祈り申したまひし松浦、筥崎、同じ社なり。かの国を離れたまふとても、多くの願立て申したまひき。今、都に帰りて、かくなむ御験を得てまかり上りたると、早く申したまへ」
[現代語訳:この近い所に、八幡宮(=石清水八幡宮)と申す神は、あちら(=筑紫)においても参詣し、お祈り申していらした松浦、箱崎と、同じ社です。あの国を離れ去るときも、たくさんの願をお掛け申されました。今、都に帰ってきて、このように御加護を得て無事に上洛することができましたと、早くお礼申し上げなさい」
【本文・訳は渋谷栄一氏のwebサイト『源氏物語の世界』より引用】
筑紫の肥前国から都に戻った玉鬘たちでしたが頼る伝手もないので、乳母の息子が都に近いところにある石清水八幡宮(現在の京都府八幡市)をお参りしようとすすめます。
それは石清水八幡宮の祭神が、筑紫滞在中に玉鬘たちが祈った松浦(まつら=佐賀県唐津市の鏡神社)・筥崎(はこざき=福岡市東区の筥崎宮)と同じ神を祀っているから、無事に都へ帰ることができたお礼参りをしようというのです。
Σ(゚Д゚)oO(平安時代にはすでにお礼参りという概念(?)があるのですね~。)
一ノ鳥居
楼門
ご神木「筥松」…「標(しるし)の松」とも
神功皇后が応神天皇を出産した時の御胞衣を筥(はこ)に納めて埋め、その標に松が植えられたとのこと。
「筥松」と呼ばれ、「筥」が埋められている岬(崎)ということで「筥崎」という名が起こったのだそうです。
※筥崎宮以外の地名としては「箱崎」
『源氏物語』常夏巻より 弘徽殿女御の女房が近江の君へ詠んだ歌
常陸なる駿河の海の須磨の浦に
波立ち出でよ筥崎の松
[現代語訳:常陸にある駿河の海の須磨の浦にお出かけくだい、箱崎の松が待っています]
【本文・訳は渋谷栄一氏のwebサイト『源氏物語の世界』より引用】
この筥崎が歌枕だったことがうかがえます。
筥崎宮の参道には「花庭園」があり、四季折々の花を楽しめます。
私が訪ねた日は冬ぼたんが咲いていました。
花庭園では白梅も✨
夏には、筥崎宮境内の西奥にある「あじさい苑」の紫陽花が楽しめるのでこちらもオススメです。
2023年 1月、都市高速道路を走る高速バス車内から撮影した筥崎宮の参道と箱崎浜。
松並木が美しい…✨
筥崎宮(筥崎八幡宮)
福岡市東区箱崎1-22-1
公式ホームページ