平安時代好きブロガー なぎ です。
京都市下京区にある風俗博物館のこと。
2024年5月に
風俗博物館を訪ねて撮影した展示の様子です。(❝ ❞はレジュメまたはパネルより引用)
この記事は 展示④ の続きです
⑤産養 ~東宮妃・明石の女御の皇子誕生、若宮の披露と源氏一門の栄華~ (『源氏物語』「若菜上より)
❝11歳で裳着を迎え、東宮(皇太子)に入内した明石の姫君は、東宮妃として「明石の女御」といわれ、13歳の若さで初めての出産を迎えた。❞
【准太上天皇(源氏)・・・明石の女御が産んだ皇子を抱く准太上天皇】
源氏の右奥では、出産を終えて数日経った明石の女御の姿がありました。
【手前にいるのが女房たち。奥に見えるのが、明石の女御[左]と紫の上[右」】
産室では、装束も調度品もすべて清浄な白一色です。
❝壁代をはじめ、御帳台・屏風・几帳・畳の縁も白に改め、出産に奉仕する女房達も皆 白装束に改める。この白装束と白い調度品は出産してから7日目まで続けられた。❞
【御帳台で休んでいる明石の女御】
皇子誕生というめでたい場面ではあるものの、明石の女御はまだ13歳という若さでもあり、痛々しさを感じてしまいます。
無事の出産でなによりでした。
【紫の上・・・明石の女御の養母】
手前にいる女房たちが十二単姿なのに対して、紫の上は袿姿。
紫の上が主人格の立場であるのがうかがえます。
【御剣(みはかし)・犀角(さいかく)・作り物の虎の頭、漢籍が置かれています】
「御剣」・「犀角」・作り物の「虎の頭」は「御湯殿(おゆどの)の儀」で使われるもの。
❝虎は百獣の長として邪気祓いに効力があり、犀角は水気除けと毒消し・解熱の効力がある病気払いとして、その霊力が尊ばれた❞
漢籍は「読書始(どくしょはじめ)の儀」で使われるもの。
【写真右側にいる男性が「問口(といくち)」の役】
❝悪霊退散の儀式として「問口(といくち)」の役が「こちらに夜泣きする赤子がいらっしゃいますか」という問いに対して、「言口(いいくち)」役の五位の束帯7名が、赤子の夜泣きが止まり、息災に成長し、位人臣を極める赤子の輝かしい未来の言祝ぎの誦詞(ずしことば)を唱えて粥をすすりながら東から西に庭上を廻り歩く(三夜は三廻り・五夜は五廻り・七夜は七廻り)ことで、あらゆる邪気を祓いながら、庭上を廻るということが行われた。❞
【「言口(いいくち)」役の五位の束帯姿の男性たち】
誦詞(ずしことば)を唱えて粥をすすりながら庭上を廻ります。
手にしている器には粥が入っているもよう。
【展示全体の様子】
【白一色の調度品】
命懸けの出産の場であること、皇子誕生と健やかな成長を祝うのにふさわしい空間だと感じました。
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